ウイルスを保有するマダニ感染症にかかった飼い犬と接触した徳島県の40代男性が重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症し、野良猫にかまれた関西の50代の女性が、これにより死亡しました。
SFTSの感染者は九州、中国、四国の73%を占め、関東以北での発症例はありません。
一方、全国26自治体でのマダニのSFTSV遺伝子保有状況調査では、このウイルスを持ったマダニ生息地域は日本全国に広がっていることが確認されています。
感染者が関西以西だけはなぜでしょう。
目次
保有マダニ生息地域は日本全国でも感染者が関西以西だけはなぜ?
保有マダニの生息地域は日本全国で確認されている。
厚労省は、マダニ感染症にかかった飼い犬と接触した徳島県の40代男性が発症していたと発表した。7月の関西の50代の女性が野良猫にかまれ、
哺乳類から人に初めて感染した(その後死亡)ことが確認されたのに続き、犬からしかも飼い犬から感染したのが分かったのは初めてである。
28自治体で2007~2015年にかけて捕獲されたニホンジカのSFTSV抗体保有率を調査した。
その結果、患者の発生している自治体、発生していない自治体のいずれからも抗体陽性動物が見出され、全体で抗体陽性率は24%であった
患者が発生している自治体ではニホンジカの抗体陽性率は37%で、発生していない自治体での陽性率は8.4%と統計学上の有意差が認められた。
この結果から、動物の抗体陽性率と患者数には相関関係があると推定された。
すなわち動物でのSFTSVの感染率が高くなると患者が発生するリスクが高くなることが分かった。
感染した野生動物と人の生活圏があまり重ならない状況では人へのリスクは低くなると考えられる。
即ち生息地域は全国なのに患者が発生しているのが西日本に偏っているのは、ではウイルスの感染環が人の生活圏へと拡大していると考えられる。
発症しやすい年齢、地域、季節などマダニについての情報をまとめます。
以下に示すこれまでの日本でのマダニ感染症のデータからみると感染しやすいひとは、
1. 年齢 高齢者
2. 居住地域 九州、中国、四国で73%を占め、関東以北での発症例はない。
3. 活動季節 5-8月が多い。
4. 活動場所 野山
ということになります。
イメージ通り、ミクロな生息地域としては野山で、夏季が多いですね。
マダニ感染症とは
SFTSウイルスを保有するマダニを介してうつる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)で、だるさや発熱など風邪のような症状が出た後、
5日~6日後ごろから意識障害や血が固まりにくくなるなどがおきることもある。
重症化しやすく、最悪の場合、発症から7~10日で死に至る。(致死率約20%)で、予防するためのワクチンや特効薬はない。
野山では、ダニに刺されないようにするのが一番の予防法ということです。
日本を初めアジアでの感染状況を見てみましょう(国立感染症研究所資料参照)
日本におけるSFTS
(2013年~2017年9月)
2013年以降 303人が感染している。
・男女比は141:162
・年齢中央値は74.0歳(届出時点)
・発症は5-8月の症例
・西日本を中心とした23府県が73%を占める。
・死亡率 19%
厚労省が今年に入り、体調が悪い飼い猫やイヌを検査すると、血液や便から初めてウイルスが検出されたという。
「ペットからの感染はまれだが、ダニ駆除を徹底し、健康状態に注意してほしい」と注意を呼び掛けている。
中国におけるSFTS
生息地域は日本だけではありません。(2016/3)2010年以降、年間患者数は増加を続け1)、2014年までに約3,500人のSFTS患者が報告されている。
症状:発熱、食欲不振、筋肉痛は8割以上の患者で、リンパ節腫脹は約4割の患者で認められる。
年齢 8か月~93歳と幅広いが、40歳以上が9割を占める。
居住地は湖北省・安徽省・河南省にわたる地域と、特に山東省内の2地域
職業 農業従事者が8割以上を占める
発症時期3~11月でピークは5~7月である
死亡率は年々減少しているが、12.2%
韓国におけるSFTS
生息地域は韓国にもあります。
2012年8月 患者の発症(死亡例)を初めて確認。
(2013年)
年齢は28~84歳(中央値69歳)
居住地は農村部が74%、南部に若干多い傾向がある
職業は農業が71%
発症時期は5~11月である。
症状は発熱もしくは悪寒(100%)、消化器症状(94%)、疲労(74%)、筋肉痛(54%)が高頻度で認められる。
死亡率(Shinらの報告では2013年は46%)
中国、韓国とも、高齢者、ピークの時期、など日本とよく似ている。
予防薬、特効薬がなく、感染による致死率は約20%とすると、ダニにかまれないこと、感染しないことが第一の予防法である。
野山では、ダニにかまれないように、注意する。
・できるだけ草むらに入らない。
・野山に行く時は長そで、長ズボンなどできるだけ肌を露出しない。
・草の上に直接座ったり、寝転んだりしない。敷物を利用する。
・脱いだ上着やタオルは、不要意に地面や草の上に置かない。
・虫よけスプレーを活用する。
・帰宅後、すぐに入浴し、着替える。
野良猫、野良犬に噛まれたり、引っかかれたり、することを避ける。
飼い猫や飼い犬のダニ駆除を徹底し、健康状態に注意して、下痢など体調を崩した場合は、動物病院を受診したほしい体調が悪い場合、
ウイルスに汚染された便や唾液などに触れないなどの注意が必要となる。
次に、このマダニ感染についてのネットの反応を見てみましょう。
犬からヒトへのマダニ感染に関するネットの反応
飼い犬からマダニ感染症にかかった、という人もいるようです。野良ネコにも要注意。ダニはかなりタフな生きもので、寒くなっても油断しないように。
肌寒くなっても「ダニ」による感染症には要注意:石田雅彦:Y!ニュース:https://t.co/EH28Md6jB5— Tokyohelper:石田雅彦 (@tokyohelper) 2017年10月11日
猫様は人間に感染する病原菌をいろいろ持っているので、内猫でも外猫でも噛まれたら傷口をしっかり洗い流してから病院へGOです! パスツレラ症、猫ひっかき病、破傷風など。処置は傷口の消毒、破傷風の予防接種、抗生物質の点滴または飲み薬など。マダニ感染症は外猫でなければあまり心配ないそう。
— キュウ (@cliche_99) 2017年10月11日
飼い犬からマダニ感染症にかかった、という人もいるようです。野良ネコにも要注意。ダニはかなりタフな生きもので、寒くなっても油断しないように。
肌寒くなっても「ダニ」による感染症には要注意:石田雅彦:Y!ニュース:https://t.co/EH28Md6jB5— Tokyohelper:石田雅彦 (@tokyohelper) 2017年10月11日
世界初、飼い犬から人へマダニ感染症 徳島の男性(徳島新聞/徳島県) https://t.co/CXP8O6a0yp |「ウイルスに汚染された唾液や便を介して感染した可能性」「発症していない犬や猫からの感染は心配ない」「ペットとの過剰な接触に注意」
— river (@beadriver) 2017年10月11日
マダニ感染症のやつ、ノミダニ予防薬してなかったのかね?お散歩で会う犬はどーなんだろ。。
— saco (@sacoron23) 2017年10月11日
マダニ自体は珍しくもなんともない。
その辺の雑木林とか草むらや植え込み等に普通に生息してる。
恐いのは媒介するウィルス。
特に室内飼いしてる犬を散歩させるときや、屋内外を自由に出入りさせてる猫がペットの場合は注意しましょう。*規約に準じて掲載しております。もし掲載不可でしたらすみやかに削除しますのでお問い合わせください。
まとめ
筆者が田舎に住み始めて、自然の怖さを初めて知ったのが、野山で、ダニに噛まれて発症するツツガアムシ病であった。
知人が発症してえらい目にあったりするのを目の当たりに見て、ヒルランなど野山を駆け巡る場合は、
長袖、長ズボン、白い服を着る、帰ったら、着替えて風呂に入るなどを心掛けるようになりました。「つつがなくお過ごしでなによりです」という言葉もここから来ていることを初めて知ったのもそのころだった。
最近、ヒアリ、スズメバチが話題になるなど、人と自然のかかわりが問題になっている。自然は美しい
癒されるだけの存在ではなく、危険も多く含んでいることを自覚する必要があると感じました。今後、関東以北にも、感染者が広がってくることが十分予想されます。
マダニにさされないこと、イヌ、ネコペットのマダニ対策や扱いが全国で大事になってきます。また、最近はやりのジビエのための野生動物の解体などにも、手袋着用など十分な注意が必要となります。
今度の事件によって、ペットの扱いも注意しないと、死に至る感染症にかかる可能性があることになって来ました。
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