プロ初打席ホームランを打った選手、と言えば誰の名前を思い浮かべますか?
2018年5月7日現在、プロ初打席にホームランを打った選手は日本プロ野球でなんと「61人」もいるのです。(参考:Wikipedia, 初打席本塁打)
この中には高木守道さん、駒田徳広さん、稲葉篤紀さんといった野球殿堂入りした選手もいれば
細かすぎて伝わらないモノマネで有名になったイースラーさんもいます。
しかし、プロ野球史上ただ1人だけ「プロ初打席と最終打席ホームラン」を達成した無名の選手がいるのです。
彼が現役10年間で放ったホームラン数はわずか16本。
そのうちの2本がプロ野球史で唯一の記録を作ったのです。
その選手の名前は「小野公誠」(2018年現在ヤクルトフロント)。
ヤクルトスワローズに1996年に入団したキャッチャーでした。
控えに甘んじてきたプロ野球人生
埼玉県の聖望学園高校から宮城県の名門、東北福祉大学に進学した小野選手。
高校時代のライバルには、後に同じヤクルトに入団する城石憲之選手がいました。
大学時代には高校時代からバッテリーを組んでいた1年先輩の「門倉健投手」とともに活躍し
1996年度ドラフト会議で、ヤクルトスワローズからドラフト4位指名されました。
ストレートに強く、バッティングとスローイングに優れたキャッチャーとして評価されたのです。
しかし、この年のドラフトは後に「小笠原道大」「高橋信二」「和田一浩」「礒部公一」「清水将海」など
強打のキャッチャーが多く指名されるドラフトとなりました。
また、当時各球団には「谷繁元信」「中村武志」「中嶋聡」「伊東勤」などといった正捕手がおり、キャッチャーは非常に競争の激しい時代でした。
そして何より、小野選手が入団したヤクルトには、90年台最高のキャッチャー「古田敦也」という不動の選手がいたのです。
現役時代の古田選手の動画はコチラ
「キャッチャーのレギュラーを奪うには日本一難しい球団」
当時のヤクルトはそう言われていました。
そしてその言葉どおり、古田選手に勝てなかった小野選手は「古田の控え」としてベンチ入りすることになるのでした。
初打席ホームラン
プロ入り2年目、1997年7月20日、神宮球場での巨人戦に小野選手はプロ初打席に立ちました。
三澤興一選手に対するプロ初打席、そこでなんとホームランを放ち、当時プロ野球史上36人目の初打席ホームランを記録しました。
これはプロ初打席、初安打、初本塁打、初打点という珍しい記録を打ち立てました。
多くの人が順中満帆なスタートと言えるでしょう。
しかし、その後2年間は全て二軍暮らし。
ただ、その後は持病の腰痛ヘルニアに悩ませながらも「古田の控え」としてベンチを支え、ムードメーカーとしても活躍しました。
最終打席ホームラン
迎えた現役10年目、ついに2008年に小野選手は現役引退を表明します。
同時に引退を表明した2008年10月12日の横浜ベイスターズ戦、小野選手の代打出場が決まりました。
試合は進み、3-3の同点で迎えた8回裏。バッターは代打小野公誠。
最終打席、初球をフルスイング。その目には既に熱いものが溢れていました。
そして運命の2球目をフルスイング。
これがレフトフェンスを超え、代打ソロホームランとなりました。
これが小野選手の最終打席のホームランとなり、そのままゲームセット、そのまま試合は終了し球界史上初の「プロ初打席と最終打席ホームラン」を達成した選手となりました。
最終打席の貴重な生実況はコチラ
「公誠コールがライトスタンド!届いている、小野公誠の耳に!そしてその声を背に!」
これほどの熱い実況、感動の名場面はなかなかないでしょう。
よく見ると、ホームインした際に「飯田哲也コーチ(当時)」が抱擁のさなか号泣していますね。
飯田コーチは現役時代チームメイトでしたので、感極まっていたのでしょう。
記録の二文字だけでは済まない”足跡”
現在、小野選手はヤクルトスワローズのフロント入りし、裏から球団を支えています。
「プロ初打席と最終打席ホームラン」決して大記録ではないかもしれません。
しかしそれは間違いなく唯一無二の記録であり、小野選手の大きな大きな足跡です。
小野選手は引退会見でこう言って、ファンに別れを告げました。
「ホームランで始まり、ホームランで終わった野球人生は宝物です」
私は10年経った今でも、小野選手の最後の打席を忘れられません。
小野選手の引退セレモニー挨拶はコチラ
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