中韓両政府はTHAAD問題で悪化した両国関係を改善することで合意した。
習近平国家主席と文在寅大統領はAPEC首脳会議に合わせ、会談することになった。
韓国では合意の過程で、THAAD追加配備・ミサイル防衛(MD)・韓米日同盟に否定的な立場を表明した「三不」が中国に屈服かと大問題になっている。
トランプ訪韓を直前に控えなぜ今なのだろうか?
THAAD問題で韓国中国に屈服か?トランプ訪韓前になぜ?
韓国が約束または見解表明した「三不」とはなにか?
「三不」とは
THAAD問題における韓中合意の過程で、中国側が要求により、韓国政府が表明した以下の3つの事項である。
・THAAD追加配備を検討しない
・米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない
・韓米日安全保障協力を軍事同盟に発展させない
当初中国外務省がこの「三不」政策を「韓国が『約束』した」と発表したが、韓国外交部の問題提起により、
中国側は「立場表明」という表現に変えたものの「韓国側が言行を一致させ、表明した立場を実際に履行することを希望する」と述べている。
但し、中国メディアは依然として「三不約束」という表現を改めず、韓国に着実に実行することを要求している。
また、裏取引があったのではとの見方もある。
保守系の韓国メディアは、韓国の主権事項、それも軍事主権に第三国が影響を与えたこと自体、
既に主権が損なわれいるということであるし、国益を損なう先例として長らく残ることになるだろうという懸念を示している。
また、中国側が「するな」と要求した3つの事項を韓国が本当に放棄するつもりなら、
これは「主権放棄」に該当し、米国も同意できないと米政府や軍部の中心人物から懸念の声が出ている(朝鮮日報参照)。
・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)
「私は韓国がその3つの領域で主権を放棄するとは思わない。(韓国の康京和〈カン・ギョンファ〉)外交部(省に相当)長官の発言は確定的(definitive)なものではないと思う」
・ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官兼韓米連合司令官
「THAAD配備を通じて防衛態勢を強化することによって、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が(韓国)南部地域をむやみに脅かせないようにした。
今後、既存の首都圏防衛システムに防衛資産や能力を追加し、首都圏住民を守る努力をする」
・外交・安保専門家
「北朝鮮の核・ミサイルの脅威が高まれば、首都圏防衛のためTHAAD砲台の追加配備が必要になるだろうに、あまりにも簡単にこれを放棄した」と指摘した。
中国の「経済報復」制裁解除の動きが先月末から出ている。
中国の「経済報復」制裁解除について
<中国の韓国に対する経済制裁とは>
・中国国内での韓国旅行商品の販売停止(3/15):この報復措置以降、中国人の韓国旅行は全面的に禁止された。
外国人観光客の半分を占める中国旅行者が途絶えて、韓国の観光産業は大打撃を受けている。
・消防法を理由に、韓国ロッテグループのスーパー「ロッテマート」を営業停止にした。
・韓国のドラマや映画、韓国芸能人は事実上、中国から締め出された。
中国共産党大会が10月24日に終わった翌日、中国外交部の定例記者会見で、耿爽報道官は韓国との関係回復を目指すと表明
「THAAD配備の撤回だけが中韓関係の回復の唯一の道である」との従来の立場を一転した。
・中国の一部旅行代理店が韓国ツアー商品を販売再開(10/24にWebサイトに韓国ツアー商品を掲載)
・中国の航空各社が一斉に韓国路線の復活を明らかにしている(10/28発表、7カ月ぶり)
・韓流芸能人の中国でのテレビ出演が再開
中国側が態度を一変した理由について、韓国・大統領府は「共産党大会で習近平が長期安定政権を構築し、
両国ともに本格的な対話をする環境が用意された」と説明していたが、「三不」約束が前提となっているのかもしれない。
韓国文政権にとっては、中国の経済報復を解除することが、優先課題の第一であるように思われる。
トランプ大統領は11月7日に訪韓する予定である。今回の合意決定時期が、偶然なのか、訪韓前を狙って急いで行われたのかは分からないが、
米韓首脳会談で、厳しい要求を突き付けられる前の時期を狙った可能性もある。
THAAD問題で韓国と中国と合意に関するネットの反応
【中国 韓流禁止令を解除か】昨年7月のTHAAD韓国配備決定後、中断していた韓流芸能人の中国でのテレビ出演が再開され、「韓流禁止令」が解除されたのではないかとの見方。中韓は10月31日、関係修復で合意。 https://t.co/R5acGM2j6L
— Yahoo!ニュース 速報や地震情報も (@YahooNewsTopics) 2017年11月2日
1 米国のミサイル防衛システムに加入しない
2 日米韓の安全保障の協力は3カ国軍事同盟に発展しない
3 THAADを追加配備しないこれが韓国が飲んだ条件。国防より経済。
中国が事実上の3原則提示 日米韓関係強化にくさび https://t.co/CG7Qt3Zzzw
— 打油(だゆ) (@dayou_jiongtu) 2017年11月4日
中国の踏み絵を踏んだ韓国、アホだ。https://t.co/8MsH8jsMHZ
「韓国政府はTHAADの追加配備については検討しておらず、米国のMDに参加しないというこれまでの立場にも変化はない」「韓米日3カ国による安全保障協力は3カ国の軍事同盟に発展しないことを明確にする」— yochan (@nondakure56) 2017年10月31日
ぎーん「トランプ大統領の訪韓。韓国が恐れているのは、会談をしに来るのではなく、単に「通告」に来るだけかもと」
まぁ、(モノホンの/笑)朝鮮日報から「トランプ訪韓前に中国にすり寄ってアホか!」なんて言われてるしw https://t.co/S2Nf8FuzF3 #voice1242— まこりー (@makolee29) 2017年11月2日
「中国に操られる韓国の裏切り 危険な合意に日本は関わるな」https://t.co/duu2eAJP6i#jiw #国際 #中韓 #中国 #韓国 #THAAD pic.twitter.com/5XQV0uCRhS
— JAPAN IN THE LIFE (@1127Jiw) 2017年11月2日
シンシアリーのブログ、更新しました。<韓国、中国に「これ以上THAAD追加配備しないし日本とも軍事同盟しないから仲良くして!」> https://t.co/UEs5W9gKk1 #シンシアリーのブログ #韓国情報
— sincerelee (@sincereleeblog) 2017年10月31日
韓国の文は中国に対しTHAADの追加装備をヤメたと報告し、さらにミサイル防衛、日米韓の軍事同盟にも参加しない意思であることをキンペイに伝えた。暴風の中の風見鶏のように激しく揺れ動く文。中国では「文から積極的に歩み寄った」と報じている。
— ひのまる子 (@egg9000) 2017年11月2日
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韓国が中国の踏み絵を踏んだのだと怒り心頭というのが、ネットの大方の意見でしょうか。
まとめ
トランプ大統領は表面的には、中韓の関係改善を歓迎しているが、
米国政府内では「三不」に対し、かなりの懸念を示している。
現在配備したTHAADは在韓米軍基地のためのものであり、THAADの追加配備なしでは、
ソウルの防衛さえままならないことになるからである。
この問題に対する訪韓時のトランプ大統領の発言が注目されると同時に、
腰の定まらない韓国に日本が振り回されるのではという心配が大きいように思われます。
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