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オリンピックに向けて変化する空手
2020年に迫ってきた東京オリンピックを前に、競技者、指導者、ファンを含めて、空手界も激動しています。
そもそも今回のオリッピックの競技に選ばれたのは、全日本空手道連盟(JKF)が採用している、日本国内ではいわゆる寸止めルールと呼ばれている試合形式です。
相手にダメージを与えることよりも、相手よりも早く、突きや蹴りをあてることがポイントへとつながる勝負で、
このポイントで勝敗がつくこの試合形式と、直接相手に技をあて、
ダメージの過多で勝敗を決めるフルコンタクトルールが、アマチュア空手の世界では二大潮流であり、
日本では格闘技ファン、見る側のファンに人気があったのはフルコンタクトルールの方でした。
JKFのルールは、自身が寸止め空手の経験がない者には、勝敗がわかりにくく、競技としての迫力に欠けるというのが、国内での不人気の原因でした。
しかし、世界的には、フルコンタクトよりも寸止めの空手の方が多くの人の支持を得て、
結果、2020年のオリッピックには寸止めルールの試合が行われることになったのでした。
が、もともと人気の面ではフルコンタクト側に大きく水を開けられていたJKFです。
日本の空手ファンの多くは、フルコンタクト空手の大会会場には満員の観客がつめかけても、JKFの大会には、観客席に関係者しかないという状況がいまだ続いています。
実際、JKFの寸止め空手がオリンピック参加が決まった途端、フルコンタクト側も団結し、国内にある9割のフルコンタクト団体が属する、
全日本フルコンタクト空手道連盟(JFKO)を発足し、JFKOの全日本大会を開催して流派を超えたチャンピオンが生まれたのでした。
空手における寸止めとフルコンタクト
寸止め派のオリンピック出場の余波は、他にもありました。
フルコンタクト派の最大流派、極真会館は、JFKOには加わらず、JKFに団体として参加して、
寸止めルールの大会に、自流の選手を出場させ、寸止めでのオリンピック出場を目指しはじめたのです。
また極真会館自派の大会でもルールを改正し、あてない顔面への突きなども判定の際のポイントに加えるなど、寸止めルールを意識した方向へ競技自体を変更しはじめました。
そんな流れの中、昨年2017年10月14、15日、東京体育館にて新極新会の第49回全日本空手道選手権大会が開催されました。
新極真会は、JFKOの中心的団体で、会員数においても現在は世界最大のフルコンタクト空手団体です。
新極真会の試合ルールはあくまで、これまでからの変更なしのフルコンタクト空手ルールです。
今大会は、オリンピックが近付いてきたいま、それでも新極真会がフルコンタクト空手ルールにこだわる団体であることをアピールした内容になりました。
創始者大山倍達が唱え続けた「極真会は勝負偏重主義の武道である」との言葉通り、体重無差別の強いものが勝つ、
正面からの打ち合いの連続、男子も女子も、相手を叩きのめした強い者が勝つ、わかりやすい試合内容でした。
いまとなっては国内フルコンタクト空手無差別最強を決める闘いとなった男子決勝で相対したのは、昨年度覇者の入来建武(東京城南川崎支部)と
一昨年の第11回全世界大会優勝者にして昨年の全日本大会の準優勝者、島本雄二(広島支部)でした。
昨年の決勝と同じ組み合わせです。
昨年は入来が執拗な下段回し蹴りで島本を捉え、判定勝ちしました。
本年度は、昨年の雪辱を期して入来対策に取り組んできた島本が、前蹴りを巧み使うことで間合いを支配し、終始試合のペースを握りました。
思うように動けず、焦りの見える入来にお株を奪う下段回し蹴りの連打から、蹴りを上段に振り分けて上段蹴りで技ありを奪い、技あり二本で、合わせて一本勝しました。
近年の組手技術が進歩したフルコンタクト空手では、実質KOともいえる一本で決着の着く試合は珍しいです。
ですが、今回の決勝戦は、戦略的なすごさも見せつけたうえでの、鋭い技での一本勝。
満員の観客は、新極真武道空手の醍醐味に大興奮状態でした。
今後の空手のルールにおける展望
オリンピックが寸止めルールで争われる以上、フルコンタンタクト空手は日本国内でも今後、
スポットがあたりにくくなるかもしれませんが、今回の大会のように、観る者の心を打つ闘いをし続けていけば、
また世界的な人気が復活する日もそう遠くはないと思います。
NPO法人新極真会 静岡湖西道場 責任者 豊田昌弘
sportsflyhigh
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